法人設立の様々なこと

⑴法人設立後の労務手続き

労務とは労働に関する事務を行う事の総称で、具体的な内容としては社会保険手続き・給与計算・健康診断の実施や福利厚生業務等の事を指し、法人設立の際に必要なものです。
法人設立後、従業員を採用すると、諸官庁屁の手続きの前に社内での書類整備をしなければなりません。
まず、労働条件通知書や労働者名簿・出勤簿やタイムカードを作成する必要があります。そして、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書というものが必要となります。これは税務上、役員・従業員が記名押印ちょ、会社が保管しておく必要のある書類です。但し、会社から受け取る給与や役員報酬が主たる給与ではない場合は不要です。
そして役員報酬の決定も行わなければならず、これに関しては必ず議事録を作成し、保存しなければならないものです。
そのほか法人設立をしたら、必ず行わなければならないものが年金事務所への手続きです。他にも労働基準監督署での手続きや労働保険の加入、ハローワークでの手続き等、各所で様々な手続きを行わなければなりませんので、法人設立の際には何を・どこで手続きをしなければならないかを確実に調べる事が法人設立後の労務関係をスムーズに行うために必要です。

⑵依頼先の注意事項

会社設立をするには、やらなければいけないことはたくさんあります。税理士、会計士、行政書士は決まっているでしょうか?一つの作業を行政書士に頼んだら次の作業は司法書士に、といったふうに一つ一つ手続きを行うのは面倒ですよね。ですので現在はインターネットで簡単に会社が設立できてしまったり、面倒な手続きも全て代行してくれて、さらに費用も安いといった代行会社が増えてきています。そんな会社の中にも、安い費用で設立代行はしてくれても、その後の顧問契約が必要になってしまい、結局費用が高く付くというのはけっこう多い話です。その辺りの詳細もしっかりと確認しておくと良いでしょう。また、設立代行の際の対応を見て顧問契約を結びたいと思ったのであれば、その時はお願いすればいいと思います。どちらにしても、設立代行をお願いするなら、それらの選択権があるところがいいと思います。また、最も大事なことは、本当に今会社を設立する必要性があるのかどうかです。会社法が変わって、会社を設立するのはそれほどお金もかからなくなりましたし、代行会社に頼めば簡単に出来てしまいます。しかし、その会社を維持し運営していくのはそう簡単なことではありません。法人化してしまうと、法人住民税が7万円かかってしまいます。また、交際費の一部が経費にならなかったり、必要書類が増えることでその管理・事務にかかる費用も増えてしまいます。今後の見通しをしっかりと建て、十分な収益が見込めるのかどうかなど、もう一度慎重に考えてみてください。もしかしたら、今はまだ個人事業のままでいた方がいい場合もあります。会社設立にはメリットとデメリットが存在しますので、それらを踏まえて計画を立てましょう。

⑶節税にもなる法人設立時の青色申告

税制上の様々な特典があるのが青色申告です。
法人設立の諸官庁への手続きの中でも税務署への届け出は先ず優先して行うものの一つですが、この際に提出するのが青色申告の承認申請書です。
この申請をもって、青色申告法人となります。
法人設立で青色申告法人になれば、研究開発費や社員の教育費などを法人税額から控除される制度があり、節税の対策の一つになります。
この他にも、決算で赤字が出た場合の欠損金は次期の事業年度に繰り越すことができ、翌年以降から9年間まで繰り越しが可能で、前年度に戻して還付を受けることもできます。
また、法人設立では設備等の導入で減価償却費も発生しますが、これも通常の枠にプラスして特別償却費として損金に組み入れることができます。
節税に役立つ特典が青色申告にはいくつかあるのですが、同時に義務も発生します。
取引に関わる帳簿を9年間は保管することが課せられるのですが、それ以上に法人税額を還付や控除を受け、償却費用などの経理処理の面でもメリットがあるのが青色申告です。